信号が青になったのに、一速に入らない

交差点の先頭。信号が青に変わる。左足で蹴る。入らない。もう一回蹴る。入らない。
後ろは当然詰まってる。この数秒、体感で一分ある。
これ、構造が古いバイクほど起きるんだけど、原因が分かってれば三秒で片付く。バイクを数センチ動かすだけでいい。
先に書いておくと、この記事は二つの別々の症状を扱う。止まってて一速に入らないやつと、走ってるのにニュートラルに入らないやつだ。原因が全然違うので分けて書く。
なぜ入らないのか

バイクのギアは、歯車同士を横にスライドさせて噛み合わせてる。噛み合う部分にはドグと呼ばれる爪があって、爪と爪の間の穴に入り込むことで繋がる。
で、たまたま爪の頭と頭が正面からぶつかる位置で止まることがある。こうなるとシフトペダルをいくら踏んでも、爪が爪を押してるだけなので入らない。力の問題じゃない。位置の問題だ。
だから解決策も単純で、爪の位置を少しズラしてやればいい。
一番速いのは、バイクを動かすこと

車輪が数センチ回れば、それに繋がってるギアも回る。爪の位置が変わる。それで入る。
やり方はどれでもいい。
- 足で地面を蹴って前後に少し押す
- 坂なら、ブレーキを緩めて転がるに任せる
- ハンドルに体重を預けて前へ押し出す
坂道は特に楽で、リアブレーキをちょっと緩めるだけで勝手に解決する。
クラッチを握ったままやること。握ってないと、爪が噛み合った瞬間にエンジンと繋がって前に出る。交差点でそれをやると別の事故になる。
それでも入らないなら、クラッチを疑う

動かしても入らないときは、クラッチが完全に切れてない可能性がある。
握ってるのにクラッチ板が離れきってなくて、エンジン側の回転が少しだけギアに伝わり続けてる状態。この状態だと爪が回転してるので、いつまで経っても噛み合わない。
その場でできる確認はこう。
1. エンジンを切る
2. クラッチを握って一速に入れてみる
エンジンを切れば入るなら、クラッチが切れてないのが原因でほぼ確定。ワイヤー式なら遊びの調整、油圧式ならフルードかエア噛みを疑うことになる。ここから先はバイク屋の領分だ。
逆にエンジンを切っても入らないなら、シフト機構そのものを見てもらったほうがいい。
教習所ではまず起きないので、初見で焦る

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これ、CB400SFのギアの入りが良すぎるのが原因だと思ってる。
教習所で数十時間乗っても一度も遭遇しないまま卒業して、公道で自分のバイクに乗って初めて食らう。しかも大抵は交差点の先頭という最悪のタイミングで来る。
超親切な教官なら教えてくれることもあるらしいけど、カリキュラムには入ってない。CB400SFが優秀すぎることの、数少ない弊害だと思う。
焦らなくていい。ハザードを出して、落ち着いてバイクを揺らす。それで終わる。
ここからは逆の話。走行中にニュートラルへ入らない
さっきまでと逆で、今度は「Nに入れたいのに入らない」ほうだ。
ツーリング中、赤信号が見えてくる。周りのバイクは減速しながらスッとニュートラルに入れて、静かに停まる。こっちはカチカチカチカチやっていつまでも入らない。
カワサキ車に乗ってると、これが本当に入らない。
入らないんじゃなくて、入らないように作られてる

これ、精度が悪いんじゃなくてそういう機構が付いてる。
カワサキのポジティブニュートラルファインダーというやつで、ギア側に入った鉄球がシャフトの溝に引っ掛かることで、後輪が止まってる間は一速から二速へ上がらないようにしてる。だから停車中は一速から上げようとすると必ずニュートラルで止まる。狙ってニュートラルに入れられる。
で、走り出してシャフトが回ると、遠心力で鉄球が溝から外れて普通にシフトできるようになる。
つまり停車時にニュートラルを探しやすくするための機構で、その代償として走行中のNは入りにくい。おおむね時速5km/hを下回らないと入らないと言われてる。
これを知らないと「カワサキはミッションが雑」という話になるんだけど、実際は逆で、停車時の使い勝手を優先した設計だ。
だからカワサキ乗りは、走行中に入れようとしなくていい

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対処法を書こうと思ったんだけど、結論としてはやらなくていいになる。
停まってからニュートラルに入れれば、他社より確実に一発で入る。それが機構の狙いだからだ。走りながら入れようとして、入らなくて、信号でモタつくのは順序が逆になってる。
どうしても走行中に入れたいなら、5km/hを切るくらいまで速度を落としてから、クラッチを切ってアクセルをほんの少し煽りながら上げる。回転を合わせてやると入りやすい。ただ、そこまでして走行中に入れる実利は正直あんまりない。
信号でNに入れるのは、惰性で近づいてる間じゃなく、停まってからでいい。
覚えて帰ってほしいのは二つだけ

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一速に入らないときは、力じゃなく位置。バイクを数センチ動かす。クラッチは握ったまま。
走行中にNへ入らないカワサキ車は、故障じゃなく仕様。停まってから入れる。
どっちも構造さえ分かってれば焦る場面じゃない。交差点で青信号を見ながら固まる時間が、これで一回分は減るはずだ。
