上りコーナーで…オーバーステア…?調べても出ない…
何か不可解な現象が起きている…のか…?
本来上りコーナーはアンダーステア?
ネットのどこで調べても、「上りコーナーはアンダーが出やすい!」「上りコーナーは荷重が大事!」などばかり。
上りコーナーでオーバーステアが出るような症例のみなさまからすれば、「どれも的を得ないなぁ…」とお考えではないでしょうか?
事実として内巻きしやすい
とはいえ、事実として「この記事に辿り着く方は上りコーナーでオーバーステアを出して死にかけて」います。
私としても、上りコーナーのオーバーステアは大クラッシュに繋がりやすいという意見を持っております。
富士スピードウェイの最後あたりとかモロにそれです。
【結論】マジでオーバーステアになります。
上りコーナーは、単純に荷重の面だけで考えるとアンダーステアになると思いがちです。
だって、荷重で考えるとホニャホニャ…ですからね。
しかし、ちゃんとオーバーステアになるのには理由があります。荷重よりも重大な理由です。
一言で言えば、「タイヤにかかる力に対しての加速量が少なくなるから」です。
今からキッチリ、説明していきます。
「まだ踏める!」は何から来る感覚?
ところで、あなたは何によってコーナー出口のアクセル開度を調整しているでしょうか?
一度考えてみてください。
私が思うに、この記事に辿り着く方は一律「加速感」を判定基準にしているはずです。
「上りで速度落ちちまったし一気に行ったるで!ググッ」といった具合です。
加速感とは?
造語となってしまって恐縮ですが、対応する語彙を持ち合わせないので、本記事での「加速感」の意味を共有させてください。
加速感は、Gのかかり具合、アクセル開度、エンジンの音、風景の流れ方など、様々な要因を感じ取った結果できる感覚と定義します。
車やバイクを運転される方であれば、肌感で理解できるはずです。
上りは平地よりも加速が悪い
非常に当たり前なのですが、「車体の重さが乗る分、上りは加速が悪い」です。
しかし、これを言い換えれば、「上りと平地で同じ加速をしようとするとタイヤにかかるトルクに差が出る」ということになるのです。
これが今回の話のミソになってきます。
トルクの差をミスリード
みなさんのほとんどは「加速感」によって、タイヤのグリップを管理していると思います。
「この加速感ならこの車はイケる…おっと、ちょっと滑ったから次はもう少し抑えよう…」といった感じ。
しかし、これだけでは勾配によって、「まだ踏める」と、タイヤの限界を若干ミスリードすることになってしまいます。
上りコーナーでのオーバーステアの正体
上りコーナーでのオーバーステアの正体は、あなたの「加速感」が現実のグリップ残量とのミスリードを引き起こした結果の産物です。
すなわち、物理的ではなく精神的な問題が、根底に原因としてあるのです。
ちなみに、重い車両ほど高低差での加速に必要なトルクの差が大きくなるため、加速感と現実のグリップの限界の乖離が大きくなります。
上りのオーバーステアを見極めるために
なんか上りコーナーでオーバーステアして怖い!という方は、今回の内容を頭に入れておけば克服に一躍買うかもしれません。
ともあれ、加速感に頼ったドライビングの方は「上りコーナーは平地に比べて後輪のグリップが弱くなる」くらい極端な考え方をしていいと思います。実際、私はこれで緩和できました。
そこから徐々に、本来の物理法則に脳を近づけていくのが効率的でしょう。
でも上りって本来アンダーでは?
最後に、「とはいっても理屈の上では、上りコーナーはアンダーステア傾向にあるやろ」に対し、質疑応答をします。
まずは事実関係から整理します。「上りコーナーはアンダーステア傾向にある」これは前輪の荷重が少なくなるからで、紛れもない事実です。
しかし、これに対して私なりの答えがあって、「上りコーナーで平地と同じ加速力を得る場合に出るオーバーステアは、どのような状況でも上りの前輪のグリップ減少によるアンダーステアを上回る」と考えています。
エビデンスは出せないですし、私の体験に基づく話になってしまって恐縮です。
しかし、これは論文にすれば定量的な結論を出すことができると考えています。(それほど確信しています…!)
コラム:FFの場合
FFの場合、「コーナーには十二分に減速してから突撃」→「コーナリング中のアクセルでアンダーオーバーをコントロール」というのが基本戦略です。
これが上りコーナーの場合はどう変化するのか、という話をします。
ツッコめ!!!!!
結論として、「ツッコミ気味くらいがいい」と思います。この結論には既に大量の先人の唾がついていてちょっとイヤですけど…
私の視点では、「常識的な範囲内のセッティングのFF」であれば、上りコーナーにおいて消せないタックインが無くなります。
オーバースピードでの進入は、平地や下りの場合、ブレーキの増し踏みをすると内巻きして死します。アクセルを抜いても内巻きして死にます。なので十二分な減速が必要です。
対して、上りであれば途中でアクセルを全閉にしたとしても、元がアンダー気味なので問題ありません。高回転気味に侵入することで、タックインをブチブチに利かせてやりましょう。
コラム:バイクはどうなんや?
もう一つ、バイクの場合の上りコーナーはどうなのでしょうか?
加速感に「バンクの復元力」が加わる
バイクの場合、加速感にもう一つの要素が加わると考えています。
それは、バンクの復元力です。バイクは加速することで起き上がります。その力によってさらに「加速しているな」と感じるのではないでしょうか?
上りで加速が悪い→バイクが想定より起きない→あれ?もうちょい開けとく?クイッ→死
正直、原理はよく分かりませんが、体感では「なんかこのパターンが結構あるなぁ」と思っているんです。
ブチ抜くアクセル≒即死
バイクも車と同じ…いえ、バイクはよりシビアです。
FRの四輪車で「挙動が乱れてブレーキをする」ところまで行くようなアクセルミスをバイクで起こすと、ハイサイドの危機に陥ります。(一敗)
おすすめの対策としては、コーナリング中の回転数を上げすぎないということです。これならテンションが上がってブチ抜いてしまっても問題ないでしょう。
滑り始めたら慌てず急いで慎重に戻せ!
半滑りからガチ滑りまでの猶予は非常に小さいです。
滑り始め初期段階で「グニャア…」という感じがほんの少しあります。勝負はこのグのタイミングです。
決して焦らずに、脊椎反射の速度でアクセルを「ほんの少し、でも気持ち多めに」戻しましょう。
この対策までが実力の範疇です。
ここから先は日頃の行いが問われます。ただ、祈りましょう。
ps:筆者はスポーツカーを運転したことがありません。本記事は、軽自動車の運転経験から捻り出しました。