INNOCN WR40-PROをレビューしていく
先日家に来た最強謎中華モニターであるWR40-PRO。
我が家のモニターカーストの中では
- ソニーの4K有機ELテレビ
- アップルの製品群
- VAIO
たちに混じって最高峰に位置することになる。
カタログスペックでは最強
はじめにコイツと出会ったのはAmazonでなんだけど、
- 聞いたことのない謎のメーカー
- 説明欄には怪しすぎる奇怪な日本語
と第一印象は最悪も最悪。
ただ、カタログスペックは6万円周辺という価格帯としては正しく「破格」な性能を誇り、少しずつ惹かれていくのでした…
WR40-PRO、性能と競合との比較
さて、さっそく仕様をみていこう。
WR40-PRO | EXLDGC242HTB | MOBIUZ EX2710Q | Optix MPG321UR-QD | UltraGear 27GP95R-B | |
解像度 | 3440x1440 | 1920x1080 | 2560x1440 | 3840x2160 | 3840x2160 |
リフレッシュレート | 144Hz | 144Hz | 165Hz | 144Hz | 144Hz |
応答速度 | 1ms | 0.6ms | 1ms | 1ms | 1ms |
液晶の種類 | ADS(IPS) | TN | IPS | IPS | IPS |
HDR | HDR600 | △ | HDR400 | HDR600 | HDR 600 |
VESAマウント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
G-SYNC/FreeSync | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
USB-C | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
カラーキャリブレーション | 出荷段階で済 | × | × | × | 専用の機器が必要 |
価格 | 約60,000円 | 約24,000円 | 約32,000 | 約130,000円 | 約80,000円 |
比較対象には144Hz出るモニターたちを用意した。
ここで見てほしいのが、単に144Hzでゲームをしたいだけであれば、20,000円台で十分叶うということ。
ではここからは主に赤字でハイライトした「追加機能」について説明していこう。
Display HDR 600
他のディスプレイと一番違うのがHDR600に対応しているという点。
6万円台だと、あったとしても下位規格のHDR400が限界で、この価格帯でHDR 600は非常に珍しいんだ。
HDRが活用される場面
HDR 600に対応してるのはわかったけど、普通のHDRと何が違うの?とお思いのあなた。
まず、HDRを使うのは主に
- より上質な映画鑑賞
- より上質なゲーム(相応のマシンスペックが必要)
になるから、この二つに興味がない人は他のモニターと同じと思ってもらっていい。
Display HDRの違い
次に、HDR600について少し解説していく。
同じHDRにでもいろいろと色々と規格があって
- HDR対応のみ(規格ナシ)
- HDR400
- HDR500
- HDR600
- HDR1000
- HDR1400
他にも有機EL用の規格とかはあるものの、基本的にはこれらがHDRの規格になる。
HDR 600から先が真のHDR
HDRの話をする時にしばしば言われるのが、HDR400とよく調整されたSDR(普通の方)は見分けがつかないということ。
つまり、先ほどの表でいえばHDR400以下で書いてあるものは、HDRを目的として購入すると後悔する可能性が高い。
素人目に「ワァ…」となるのはHDR 600から後の規格になる。
HDR毎の大体の価格帯について
「じゃあ一番上のHDR1400欲しい!」と飛びつくのは僕ら一般デジタルオタク達には無理で、HDR1400は
- どれだけ安くても20万円代
- そもそも選択肢が少ない
- 高リフレッシュレート対応は更に少ない
と、販売対象が完全にクリエイターに傾いてるせいでまともに選べないんだ。
考えるべきはHDR600かHDR1000になるんだけど、HDR600対応ですら12万円以上するものがほとんど。
ここまでで144Hz、HDR600対応で6万円の本製品の異常性が浮き彫りになってきたと思う。
リフレッシュレート144Hz
リフレッシュレートは6万円のゲーミングモニターとして見ると低い144Hz。
FPSしかしないし、無駄な機能を削ぎ落として安くしたいという人は20,000円台に240Hz対応モニターもあるからそっちも検討したいところ。
↓高リフレッシュレートで20,000円台の例
高リフレッシュレートとHDR600が共存
高リフレッシュレートだけであれば安いんだけど、HDR600を兼ね備えた機種となると、同Tier帯の平均価格は跳ね上がり100,000円を優に超える。
WR40-PROは、あくまで高リフレッシュレートとHDR600などの映像美を両立した上でのコスパのいいモニターなんだ。
ADSモニターってなに?
このモニターを買う上で若干引っかかるのがADSという見慣れない規格。
少しモニターを知っている人であれば、VAやTN、IPSは聞いたことがあるかもしれないけれど、ADSという規格を知っている人はかなり少ないと思う。
ADSはIPSモニターとほぼ同義
実は、IPSっていうのはLGとかが取得した特許および商標権の名前で、基本的にLGの許可なしにIPSとは名乗れない。
そのため、ADSは動作する原理的にはIPSとほぼ同じだけど、ADSという名前を使っているんだ。つまり、IPSとほぼ同じ特徴と性能を持っているんだ。
車好きな人はV-TECに対するVVT-iだと思ってもらえば早い。スタバが好きな人はフラペチーノに対するフラッペだと思ってもらえば差支えない。
カラーマネジメントモニター
このモニターの特殊な部分としてもう一つあるのが、カラーキャリブレーションされた状態でお家に届くということ。
60.000円台のモニターだと非常に珍しいから知らない人も多い思う。完全にオタク向け。
簡単に説明すると、カラーキャリブレーションをされているモニターは色が正確に表示されるから、メリットとして
- 動画、写真などの編集をする上で正しい色で作業できる
- コンテンツを正しい色で閲覧できる
というものがある。
ちなみに本製品の色差Δeは2.0周辺ぽい。一般的に人間の感覚で1.6〜3.2の色は離間比較(少し離して確認すること)で違いはわからないくらいと言われているから、モニターとしての実力は正に特級。
クリエイター向け
主に写真が趣味の人とか、動画編集をやっている人にとってはこれ以上ないメリットになることなんだけど、別にされていなかったところでYouTubeの動画を見たりゲームをしたり程度であれば何も気にならない。
因みに僕はこの機能にやられました🥺
実はLGに競合モニターが
実は価格帯はほぼ同じで機能も結構肉薄しているモニターが安心と信頼と実績のLGから発売されている。
俺が人柱になった結果Innocnのモニターは事実問題ないことはわかったけど、やはりLGの方がブランド的に信頼が置けるのもまた事実。
- カラーキャリブレーションに興味はない
- HDRは使わない
- 謎中華モニターはどうも好かない
- LGすき
これらにある程度あてはまる人はこちらのモニターを買うのも視野に入れておこう。
Innocn WR40-PROの総評
結論としてこのモニターをおすすめするのが
「専門家ほどではないが動画や写真を扱いたい。かつ高リフレッシュレートでゲームもしたい。お金はかけたくない。画面が広ければ最高。」という人。
言い換えれば
駆け出しYouTuber or 動画編集者 or ゲームも遊びたい写真好き
な人に超絶おすすめなモニターになる。もちろんコスパはめちゃめちゃいいから、お手頃価格でいいモニターが欲しいっていう人にもおすすめだ。
Innocn WR40-PRO使用感想編
ここから先は僕が実際に使ってみてどう言った印象を持ったのかの感想ゾーン。
カタログスペックだけなら最強なんだけど、実際の感想ではその限りではないから買うなら絶対に覚えておくべき。
解像度に対してサイズがデカすぎる
本製品、解像度が3440x1440(UWQHD)となるんだけど、これに対し40インチという超巨大な画面サイズを誇る。
これにより、1インチあたりのドット数があまり優秀な数値で無くなっている。
実物に近づいて見れば一つ一つのドットは目視可能。
ドット粗さの目安
WR40-PROのドットの粗さは大体フルHDで24インチ程度のモニターくらいだと思ってもらって差し支えない。
自宅にある人は確認してみて、気になるかを検証してみてほしい。
ただ、40インチというサイズもあって、普段より遠めの位置に配置するようになると思うから実用上は気にならないとは思う。
144Hzは伊達じゃない
本製品のいいところの一つで144Hzという高リフレッシュレートがあったと思うんですけど、
これマジで最強。
僕はBF4っていうゲームでは無双できるんですけど、どうしてもAPEXはなぜか勝てなかったんです。
それが144Hzで動かしたその日から明らかに勝てる場面が増えたのです。
FPSゲームにおいての優位性
その要因としては、モニターのリフレッシュレートが対人ゲームをやる上で非常に重要なパラメータになるということ。
具体的には
- 近距離の撃ち合いに強くなる(キャラコン合戦)
- 中遠距離のエイムの微調整が簡単になる
- 急な接敵でより早く敵を認知できる
- 追いエイムが超絶楽になる←かなりデカい
と、高リフレッシュレートモニターにはエイム系の能力を大幅に向上させる効果がある。
144Hzモニターが蔓延るこの乱世で、60Hzモニターはいわば将棋の駒落ちであり、峠のガムテープであり、クロスファイアの防衛側なんだ。
144Hzはゲームしない人でも感動
ゲームをしない人であっても、マウスカーソルのヌルヌル動く感じは一見の価値アリ。
科学的に実証されてるかは知らないけど、個人的には画面を見るのが楽になる。
ワイドモニターでアセットコルサにもおすすめ
モニターの解像度的にはUWQHDで、通常のモニターの二倍の長さがある。
これ、実際にアセットコルサでやってみるといつもより視野角を大きくしても違和感がないから、より多くの視野を得ることができる。
あと、映像の美麗さとリフレッシュレートの高さも相まって最高のアセコル体験ができる。
レースゲームをやっている人には非常におすすめだ。
ドックとしての使用は不可
USB-Cの端子があるから、おうちに持って帰ってきたノートパソコンを繋げることで使いたいという人は若干注意が必要。
というのも、モニター自体にはUSBはないため、キーボードとマウスをモニターに接続することができない。
一工夫すれば全然できるんだけど、意外とモニターだけでできると勘違いしやすいから注意。
WR40-PROの個人的なレビュー
レビューをするとすれば今のところ☆は5。
そもそもほしい機能がすべてついていて安かったから買ったこともあって、製品自体に問題がなければ☆5は当然ではあるものの、個人的には大満足。
謎の中華モニターだからドット抜けがあったり深刻なバグが発生したら嫌だなとは思っていたけど、今のところはそれも問題ない。
ゲーム系も、Apexで初めて144Hzを出して新しい世界に突入できたし、アセットコルサはさらに没入感が増したので十分満足。
求める機能に違いはあれど、あらゆる人にお勧めできるモニターだと思う。