バイクを遅くするカスタム
現在流行っているバイクのカスタムは必ずしもバイクの性能を向上させるものではなくて、速さとは関係のないものや逆にバイクを遅くするバイクというのもある。
知らず知らずのうちに
自分がやっているカスタムがバイクを速くするものじゃないことを理解した上でやっているのは問題ないんだけど、ネットの謎情報とかお店の謎ポップで知らず知らずのうちに遅くするカスタムをしてしまっている場合がある。
こうなってしまうと
ドレスアップ目的なら◯
突然なんだけど、車でタイヤを極端に外側に向けているカスタムを見たことはないだろうか。
あれはカスタムの中でも、車の足回りに大きな負担をかけたりトラクションが悪くなって加減速に深刻な悪影響をもたらしたり、性能的な面では何一ついいことがないモノ。それでもやる人がいるのは単に派手な見た目のためなんだ。
バイクも同様で、自分のものである以上どんなカスタムをしようが自己満足だし、他人から口出しされるようなことじゃない。
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エアロパーツの追加
最近のMotoGPマシンにはフロントカウルあたりにデカいスポイラーみたいなのが付いているんだけど、それを模倣して市販車につけようとする人がいる。
そもそも計算済み
空力が大事になるようなスポーツ系のバイクはその全てが、設計の時点からいい感じの空力特性になるように計算されている。バイクのカウルの形状は素人からしたら想像がつかないような方法と、とんでもない回数をこなして得られた最適解が具現化したものなんだ。
それをあえて崩してより良い結果を得ようとするのはある程度の技術と狙いがない限りかなり厳しい。
最高速は確実に低下
話は変わるけど、F1マシンにはDRSという機構が付いている。DRSは一時的にウィングを寝かせることで空気抵抗を減らして、長いストレートでより速く走るための機構になる。
基本的にコーナリングの速度速くなるのと高速域の安定性が高くなるのがダウンフォースのメリットになるんだけど、同時に空気抵抗の増加とタイヤの接地圧の増加で進みにくくなってしまうというデメリットも持っているんだ。
仮に適切なダウンフォースを得られるエアロパーツをつけていたとしても最高速は落ちてしまう点に注意しておこう。
ホイールサイズの変更
ホイールサイズの変更に関しては、リアホイールをデカくするのが最も人気なカスタムになる。
全体的な性能に大きく影響
リアのホイールサイズを変えると、ハンドリング以外にもいろいろな部分に影響が出てくる。まとめると
- 加速性能の悪化
- 最高速の低下
- 燃費の悪化
- バンクさせにくくなる
- コーナリング中の安定感が向上
- 直線の安定感も若干向上
- バネ下重量の増加
などなど、デメリットが多い中メリットも出てくる。バネ下重量に関しては、純正のモノよりも軽量な素材を使っているホイールを買えばあまり変わらない。
身の丈に合ったホイールを
例えば250ccにデカいホイールを履かせることもできるんだけど、履かせたところで250ccバイクのトルクではそのホイールを持て余してしまうことがほとんど。逆に言えばエンジンも魔改造していて既存のホイールだとコーナーが危ないとかの理由があれば、元のホイールだと貧弱になってしまっているからいいカスタムになる可能性がある。
やはり、そのバイクにはバイクに合ったホイールを履かせるのが最も〇。
見た目は最高
とはいえ、リアホイールがデカいのは迫力も出てかなりイケてる。
他のカスタムにも言えるんだけど、加速性能が下がったり最高速が下がったりしてもサーキットに行かない限りほぼ変わらない。
公道で走る上で、バイクをドレスアップするカスタムは個人的にはアリだと思っているから、燃費を気にしない人であればやってしまってもいいと思う。
スイングアーム延長(ロンスイ)
スイングアームの延長は主にドラッグレース系のカスタムで見られる。
スイングアームの強度が微妙
スイングアームを延長するとなると、純正のスイングアームから社外品の長いスイングアームに取り換えるのが一般的。というかそれしかない。
そこで問題になるのが、社外品のスイングアームの強度が微妙なこと。このカスタムのもともとの出身がドラッグレースという、レースの中でも短時間中の短時間なレースだからスイングアーム自体も数秒間のワンレース持てばいいような仕様になっている。
バイクに多大な負荷がかかる
スイングアームの延長は基本的にタイヤのインチアップと一緒に行われる。
ここで問題になるのが、ロングスイングアームとクソデカホイールによるリア周りの重量の異常な増加。純正のフレームは純正のリア周りの重量に耐えられるように作っているから、リア周りをデカくしすぎるとフレームとスイングアームの接続部がすぐにイカれてしまう。
エンジンを改造してないと意味ない
そもそもドラッグレースでなぜロンスイ化しているのかというと、極限まで上げたエンジンのパワーを地面に伝えるためにリアタイヤを大きくするスペースを確保するためと、エンジンとかの重い部分をリアタイヤから可能な限り離すことでフロントが上がってしまうことを防ぐため。
無改造のエンジンであればロンスイは重くなるというデメリットが大きく出てメリットをあまり受けられなくなってしまうんだ。
シャコタン
明らかに車から入ってきた文化。車は車体下の空気の流れがダウンフォースと大きく関係するからシャコタンは有効なカスタムになるんだけど、バイクに関しては全くの無意味。
運動性能の低下
シャコタンをするとバイクの重心が下に動く。
バイクは重心が高いほど運動性能が高いから、シャコタンをしてしまうとバイクを寝かせるのがモッサリとした動きになってしまう。
バンク角に関してもシャコタンした分制限されてしまうから、バイクでのシャコタンは少なくとも速くするカスタムではないことがわかる。
無理のある改造
車のシャコタンはダンパーの変更とか、社外品のエアサスペンションに変えて車高を下げることでできるから、無理のない形でシャコタンしているんだけど、バイクに関してはシャコタンできるパーツがあまりないんだ。
バイクで車高を変えられるパーツといえば、リアではサスペンションとせいぜい上のリンク。フロントではフロントフォークを縮めるくらいしかない。これらのセッティングをギリギリまで詰めたところでちょっと低いバイク程度にしかならないから、フォークを変えるとかキャスター角を寝かすとか、バイクの特性を大きく変えてしまうようなカスタムしか残されていないんだ。
バイクへの愛がそうさせる
というかこの状態のバイクに乗っている人は、そのバイクに相当の愛を持っているはず。以前より明らかに悪いハンドリングで路面状況とアンジュレーションにも気を使いながら走らなければならないのに、お金もかかるのに、そこまでしてシャコタンをするのは最早愛を超えてオタク中のオタク。俺は仲良くなりたい。
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燃料添加剤
一番物申したいのがコイツ。
よく、「燃費がよくなる」とか「馬力が上がる」とか謎のPOP付きで売られているんだけど、果たして本当なのだろうか。
レギュラーとハイオクの違い(オクタン価について)
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いはオクタン価にある。日本ではレギュラーはオクタン価が89以上のものでハイオクが96以上のものとして売られている。
で、このオクタン価がそもそも何なのかというと、エンジンの中で圧縮した時に勝手に爆発しにくいほど数値が上がるというもの。これが低くて勝手に爆発してしまうと、ノッキングという現象になってエンジンに悪い影響を与えてしまう。
ハイオクはレギュラーよりも大きく圧縮して問題ないから、スポーツモデルとかの高い圧縮率を必要とするエンジンによく使われているんだ。
燃料添加剤はオクタン価を上げる?
それでこの燃料添加剤が何なのかというと、ガソリンに入れるとそのガソリンのオクタン価を上げられるというもの。簡単に言うとレギュラーに燃料添加剤を入れまくるとハイオクになる。
ということは、ハイオクが手に入る日本では燃料添加剤はそもそもハイオクに入れる以外で必要のないものになる。
ただ、上で解説したようにオクタン価はノッキングのしにくさなんだけど、ほぼすべてのバイクは日本のハイオクを入れても過剰にノッキングしないように作られているから、これ以上オクタン価をあげたところで馬力は上がらないし、そもそも燃費とはほぼ無関係の一品なんだ。
エンジン洗浄効果
勘違いされているんだけど、ワコーズの出しているフューエルワンとかに関しては「エンジンの洗浄効果」を売り文句として売り出している。
エンジンのカーボンとかを除去してくれるという商品で、エンジンの性能向上というよりは整備とか修理とかそっち系の効果があるもの。
洗浄効果に関しても色々言われているんだけど、ワコーズが効果あるって言ってるんだからある程度効果があるものだと思っている。
速くするカスタムがすべてじゃない
ここまで色々とバイクが遅くなるカスタムを書いてきたんだけど、これらは決して「ムダ」なカスタムじゃない。
バイクのカスタムは人の数だけ存在して、バイクのカスタムを見ればその人がどういう価値観を持っているのか、何が好きなのかを垣間見ることができる。その人を写す鏡でもある。
バイクのカスタムはバイクの性能だけに留まらず、一種の自己表現にまでなっているんだ。
速いとか意味ある?
そもそも、公道でしか走らないのに速い必要なんてあるのだろうか。むしろ公道では速すぎるから遅くした方がいいんじゃないだろうか。
公道では速いことに意味なんてない。そんな大人な考えを持っているのもまた、デチューンカスタムをする人なのかもしれない。
速い方が偉いやろ
速いやつが偉い。速さこそアイデンティティ。そんな過激な考えを持つ人は暇があるときにコッチも読んでほしい。法定速度でも荷重移動の練習ができるから、普段から意識して乗ってみよう。
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