2万km走れば交換、じゃない

バイクのチェーンは何kmで交換すればいいのか。
数字だけなら簡単で、シールチェーンは約1万5千〜3万km、ノンシールチェーンは約5,000km。
チェーンメーカーのEKが出してる寿命の目安がこれ。
でも本当に見るべきなのは距離じゃない。雨ざらしで注油されなかったチェーンと、定期的に手入れされたチェーンが同じ距離を走れるわけがない。
走行距離は交換を考え始める合図。交換を決めるのは現物の状態。
まだ1万kmだから大丈夫、は通用しない。チェーンは距離計を見て壊れてくれるほど親切じゃない。
交換すべき7つの症状

1. 張り調整が限界まで来た
チェーンが緩んでも、最初は後輪の位置を動かして適正なたるみに戻せる。
ところが摩耗が進み、チェーンアジャスターで調整できる範囲を使い切ったら終わり。これ以上は張れないから交換になる。
「また緩んだ」が短い間隔で繰り返すなら、寿命が近いかもしれない。
2. 場所によって張りが違う
後輪を少しずつ回しながらチェーンを見ると、ある場所ではパンパン、別の場所ではダルダルになる。
これ、チェーンが均等に摩耗してない状態。一番張る場所に合わせると他が緩み、一番緩い場所に合わせると他が張りすぎる。
一周の中で答えが変わるチェーンは、調整では直らない。
3. リンクが真っすぐに戻らない
スプロケットを離れた後も、チェーンの一部が「く」の字のまま戻らない。動かしても渋い。
これはリンクの硬直や固着。注油不足、錆、シールの劣化とかで関節が動かなくなってる。
曲がるための部品が曲がらない。かなり分かりやすい退職届だ。
4. 全体に錆が回った
表面に小さな点錆が一つあるだけで即交換とは限らない。でも赤錆がチェーン全体へ広がり、リンクの内側まで入ってるなら話が変わる。
EKとRKの両社が、距離より先に交換へ追い込まれる原因として錆を挙げてる。
錆びたチェーンへ上からルブを吹いても、減った強度までは戻らない。
5. シールが抜けた・割れた
シールチェーンは、ピンとブッシュの間に封入したグリスをゴム製のシールリングで守ってる。
そのシールが飛び出してる、切れてる、ひび割れてる。こうなると内部の潤滑を保てない。
外からルブを吹けば全部元通り、じゃない。シールの内側に工場で封入されたグリスは別物だ。
6. ローラーに割れ・傷・回転不良がある
スプロケットの歯と直接当たるローラーが割れてる、傷が深い、回らない。
一個だけだからと放置すると、その一個が来るたびにスプロケットへ変な力が掛かる。EKもハッキリ交換条件にしてる。
7. 異音とギクシャクが消えない
アクセルの開け閉めでガチャガチャする。一定速なのに周期的な振動が来る。清掃、注油、張り調整をしても消えない。
D.I.Dによると、摩耗したチェーンはアクセル操作への反応が悪くなって、加減速がギクシャクする。硬直や錆による固着は抵抗も増やす。
音だけで即交換とは決められないけど、上の症状と一緒に出てるならかなり濃い。
チェーンの「伸び」は金属が伸びたわけじゃない

名前のせいで誤解しやすい。
チェーンが伸びる主な理由は、プレートがゴムみたいに引き延ばされたからじゃない。リンクをつなぐピンとブッシュが少しずつ摩耗して、接続部の隙間が増えるからだ。
D.I.Dによると、1か所あたり0.1mmの隙間でも、100リンクなら合計10mm=1cmの伸びになって現れる。
一個ずつは誤差。でも全員でサボると1cmになる。組織として終わってる。
この摩耗は張り調整じゃ元に戻らない。後輪を後ろへ動かして、増えた長さを一時的に吸収してるだけ。
だから調整幅を使い切れば交換になる。
交換か、張り調整だけでいいか

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単純なたるみなら、まず調整。
ただ、次のどれかがあれば交換側に寄る。
- アジャスターの調整限界
- 一周の中に張る場所と緩む場所がある
- 固着したリンクがある
- 全体的な錆、ローラーの損傷がある
- シールの脱落やひび割れがある
- 清掃・注油・調整後も異音や振動が残る
たるみ量は「だいたい2〜3cm」のようなネットの共通値で決めない。
サスペンション構造や車種によって適正値も測定条件も違う。サイドスタンドで測る車両もあれば、荷重条件の指定がある車両もある。
正解はネットの共通値じゃなく、そのバイクの取扱説明書とサービスマニュアルにある。
緩いのが怖いからと張りすぎるのもダメ。サスペンションが動いたときにチェーンへ過大な力が掛かり、乗り心地や部品の寿命まで悪くする。
5年経ったチェーンも交換候補

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あまり走らない人には、距離より時間が効く。
D.I.Dは、走行距離が短くても約5年以上経ったチェーンは安全のため交換を推奨してる。
ゴム製のシールは年を取る。鉄の部品は湿気を吸う。動かしていなくても、紫外線、雨、埃、凍結防止剤などから逃げられない。
中古バイクを買って、距離は少ないのにチェーンだけ茶色い。長期保管車でリンクの動きが渋い。
こういう車両に「まだ5,000kmだから新品同然」はない。
いつ交換したか分からない中古車なら、走行距離と一緒にチェーンの年齢も疑おう。
寿命を延ばすなら500kmごとに見る

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EKとD.I.Dはどちらも、長くても約500km走るごとのメンテナンスを案内してる。雨天や悪路を走った後は、距離に関係なく清掃・注油だ。
毎回完璧に磨き上げなくていい。
- 汚れと水分を落とす
- 必要ならチェーン専用クリーナーで洗う
- 十分に乾かす
- プレート間、ローラーとブッシュの間、シール周辺へチェーンルブを差す
- 余分なルブを拭き取る
シールチェーンへ、パーツクリーナー、灯油、ワイヤーブラシ、高温高圧洗浄を使うのは避ける。シールリングを傷めるかもしれないとEKも注意してる。
そして作業中はエンジンを切る。
エンジンをかけて後輪を回しながら注油する動画を見かけても、真似しないでほしい。チェーンとスプロケットは、指くらい何の抵抗もなく持っていく。
チェーンを替えるならスプロケットも見る

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新品チェーンと、摩耗したスプロケットを組み合わせると噛み合いが悪い。
スプロケットの歯が片側へ尖ってる、谷が広がってる、偏摩耗してるなら同時交換を検討する。チェーンだけ新品にしても、古い歯のせいですぐ傷めるかもしれない。
とはいえ「チェーン交換なら必ず前後スプロケットも交換」と機械的に決めなくていい。距離、歯の状態、交換履歴を見て店に判断してもらえばいい。
交換作業そのものは、チェーンカット、リンク数の決定、プレートの圧入、ピンのカシメ、張りとホイール位置の調整まである。
EKも、整備資格または同等の専門知識と経験が必要としてる。
清掃と注油は自分でやる。交換は店へ投げる。この分担で全然いい。
距離計より、後輪を一周させろ

シールチェーンなら1万5千〜3万km。ノンシールなら約5,000km。5年以上経ったものも交換候補。
この数字は覚えておいていい。
でも、チェーンを見るときに一か所だけ触って終わるのはダメだ。後輪を手で回して一周させ、張りの差、固いリンク、錆、ローラー、シールを見る。
一番悪い場所が、そのチェーンの現在地になる。
年間走行距離から交換時期をざっくり計算したい人は、こっちも参考にしてほしい。
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走行中に切れるまで使えたチェーンは、長寿命だったんじゃない。交換時期を通り越しただけだ。
チェーンは切れてからじゃなく、調整でごまかせなくなった時点で替えよう。
