バイク

【バイクの蛇行走行】バイクのタイヤはウィービングしても暖まらない。

サーキットの慣熟走行で、みんな蛇行してるやつ

走行会に行くと、一周目で左右に振りながら走ってるバイクがいる。F1でも見るやつだ。タイヤを温めてるんだな、と思う。真似する。

で、あれ、バイクではほぼ意味がない。むしろ下手にやると悪くなる。

理由は、車とバイクでタイヤの温まり方が違うからだ。順番に見ていく。

そもそもタイヤは「揉まれて」温まる

レーシングタイヤ
画像:Cjp24/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

タイヤが温まる原理は単純で、ゴムが変形するときに内部で熱が出る。曲げて戻して曲げて戻して、を繰り返すと温度が上がる。針金を何度も折り曲げると熱くなるのと同じ話だ。

だから温める方法は基本的に二つしかない。

  • タイヤを変形させる
  • タイヤウォーマーで外から温める

ウォーマーは設備が要るので、車体だけでやるなら変形させるしかない。

四輪が蛇行で温まるのは、タイヤの形のおかげ

車のタイヤは接地面が平らで、サイドウォールが立ってる。

この形だと、左右に振ったときに横方向の力がかかって、接地面もサイドウォールも大きくよじれる。ハンドルを切るたびにタイヤ全体が揉まれるから、蛇行が温めとして成立する。

F1が蛇行してるのはこれだ。

バイクのタイヤは、そもそも曲げるために丸い

バイクのタイヤ
画像:Cjp24/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

バイクのタイヤは断面が丸い。

倒し込んだときに接地する場所が滑らかに移動していくように、最初から曲面で作られてる。ということは、バンクさせてもタイヤは「想定内の形」のままで、たいして変形しない。

車が蛇行で得ていた「よじれ」が、バイクではほとんど発生しない。だから温まらない。

しかも慣熟走行の速度で振れるバンク角はたかが知れてる。あの動きで内部まで熱を入れるのは無理がある。

それどころか、蛇行は悪さをすることがある

レーシングタイヤ
画像:Cjp24/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

ここが一番書きたかったところ。

冷えたタイヤを無理に振ると、路面と擦れて表面だけが温まる。中は冷たいまま。この状態で走ると、表面のゴムがささくれ立つ。グレイニングと呼ばれるやつだ。

一度グレイニングが出ると、その周回はグリップが落ちる。温めようとして逆にグリップを捨てることになる。

つまり蛇行は「意味がない」で済まなくて、やり方によってはマイナスになる。ここは知っておいたほうがいい。

内部温度と表面温度は別物

タイヤ
画像:driver Photographer/CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)
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グレイニングの話が象徴的なんだけど、タイヤには表面温度と内部温度がある。

表面だけ温めても、コーナーで荷重がかかった瞬間に内部の冷たいゴムが効いてきて、狙った潰れ方をしてくれない。表面温度計の数字が上がってても、それは「温まった」とは違う。

欲しいのは内部の温度で、そのためには表面を擦るんじゃなく、タイヤ全体をたわませる必要がある。

効くのは加速と減速

タイヤ
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バイクで内部まで熱を入れるなら、直線での加減速が一番強い。

加速するとリアタイヤに荷重が乗って、駆動力で接地面がねじれる。ブレーキをかけるとフロントに荷重が移って、タイヤが前後に潰れる。この前後方向の変形は、バンクで得られる横方向の変形と比べ物にならないくらい大きい。

具体的にはこうなる。

  • ストレートで、少し高めのギアのまま長めにアクセルを開ける
  • 減速はガツンといかず、じわっと長めにフロントブレーキを引きずる

どっちも「短く鋭く」じゃなく「長く」がポイントで、荷重をかけてる時間そのものが熱になる。

一周目からいきなりバンク角を稼ぎにいくより、直線で温度を作ってから寝かせていくほうが結果的に速い。

ドラッグレースのバーンアウトは、また別の話

ドラッグレース
画像:Frank Schwichtenberg/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

タイヤを温める話でよく出てくるのがドラッグレースのバーンアウトなんだけど、あれは事情が違う。

まず一回のレースが数秒で終わるから、タイヤの寿命を考えなくていい。そのうえで、あの白煙は観客に見せる演出という側面がかなりある。

実際、トップフューエルでもバーンアウト自体はそこまで長く引っ張らない。基本はウォーマーで温めておいて、最後の一押しとしてやってる。

ドラッグレースもドリフトも、F1ですら、モータースポーツは全体的にプロレス的な部分を持ってる。見せ場として成立してる動きを、そのまま自分の走行前ルーティンに輸入すると事故る。

一周目にやることを決めておく

タイヤ
画像:Originalgio/CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

まとめると、慣熟走行でやるべきなのは蛇行じゃなく加減速だ。

直線で長めに開けて、長めに引きずる。それを何回か繰り返してから、コーナーのバンク角を少しずつ増やしていく。振るのは、やりたければ最後でいい。

というか、蛇行してるライダーを見て真似したのが俺だったので、これは自分に向けて書いてる。

タイヤの銘柄そのものの話は別で書いた。ツーリングタイヤでスポーツ走行に行くとどうなるかはこっち。

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